PFC回路で発生するノイズのコモンモードノイズとノーマルモードノイズの割合と電源フイルタの構成

交流入力のスイッチング電源では、力率補正回路(PFC)が使用されますが。その回路の特性上、コモンモード以外に、ノーマルモードのノイズ成分が含まれます。
PFCの回路構成によって、そのノーマルモード成分が大きく変わると思いますが、貴社で推奨するSFC回路2種のノーマルモード、コモンモードノイズ成分の割合とそれに対処する、フイルタ回路の推奨案を示してください。
  • スタッフのAyrです。

    お待たせして申し訳ございません。
    関係部署に確認中なのでしばらくお待ち下さい。
  • 技術の方に確認してきましたがご質問に関するお答えは下記になります。

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    「AC入力端子に現れる、いわゆる雑音端子電圧ということで考えてみます。PFCなどスイッチング電源では、ご指摘の通り、ノーマルモードノイズとコモンモードノイズが発生します。これらはACライン間に発生するのか、ACラインとアース(通常は、筐体)間に発生するのか、の違いはありますが、発生原因は、スイッチングデバイスのスイッチング動作が原因です。

    スイッチング動作で発生するノイズには、主に次の二つが考えられます。

    一つはパターンなど線路に寄生するインダクタンスを、電流がON/OFFするために発生するサージ電圧です。これはスイッチングデバイスの
    両端に発生するので、主にノーマルモードノイズに影響すると考えられます。

    もう一つは400V近い高電圧をON/OFFすることにより、線路と筐体間の
    浮遊容量を通して流れるノイズ電流です。これは筐体を流れることから
    、主にコモンモードノイズに影響すると考えられます。

    次に、PFCの二つの回路、つまり、臨界モードと連続モードについて
    スイッチング動作を考えてみます。

    臨界モードでは、スイッチングデバイスは、ターンオフ時は大きな電流を急激に0Aにしますが、ターンオン時は電流が0Aから始まる、Zero Current Switching動作をします。

    一方、連続モードでは、スイッチングデバイスは、ターンオフ、ターンオンとも電流をON/OFFします。

    よって、電流起因のノーマルモードノイズは、臨界モードの方が小さいと考えられますが、電圧起因のコモンモードノイズについては、どちらも同じ電圧をスイッチングしますので、同等と考えられます。

    但し、以上説明した内容は、一般論です。

    どちらのノイズも出力電力、機構設計、基板設計に大きく影響されるとともに、評価する周波数(一般に150kHz~30MHz)の間で、大きく状況が変化しますので、一概にどちらが大きいということは困難です。
    また、ノーマルモードが線路を伝搬する間にコモンモードに変化したり、高域のノイズが輻射ノイズとして線路に伝わったりしますので、ますます、大小を議論することが難しくなります。」

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    との見解で、両モードの成分の割合を一言で表現することは出来ないようです。


    また、フィルタ回路につきましては、
    「お客様の使用状況によって変わりますので弊社の推奨回路というのは特に規定していない」。とのことでした。


    一般にフィルターの回路はACライン間のフィルムコンデンサ、コモンモードチョークコイル、ACラインとFG間のセラミックコンデンサで構成されます。必要に応じて、
    このフィルタを2段、3段と直列に接続することになります。

    詳しくは、フィルターメーカ様のHPでカタログをご覧いただくとより詳しくわかると思いますので、是非、参照下さい。
  • 電源線からの伝導ノイズの測定法はFCC/CISPR16で規定されていますが、それはコモンモードとノーマルモードのノイズを一緒くたにして測定しております。このノイズを規定値内に収めるときの対処法として。発生原因に即した対処法が必要であります。
    コモンモードとノーマルモードノイズを分離すれば、ノイズの発生原因の解析にも有効な情報が得られ、それに見合ったスイッチング電源回路の改善、実装法の改善を行うことができます。
    その上で、入力フイルターの適切な設計を行うことができます。
    一般にフイルタを多段にして対処する人がおりますが。
    まず、コモンモードとノーマルモードのノイズを分離測定し、どちらに効果のあるフイルタを追加するかを選択するのが効果的です。
    一般にコモンモードのフイルタを使用しておりますが、ノーマルモードに有効なフイルタの追加も必要であり。
    市販されているフイルタには、コモンモードチョークにリーケージインダクタンスを待たせ。ノーマルモード効果を持たせたものがあります。

    コモンモードとノーマルモードノイズの分離測定法はHenry W. Ott氏の著書 Electromagnetc Compatibility Engneeringの704頁。18.6.3 Separating C-M From D-M Noiseで紹介されています。。