サーマルパッドのスルーホール設計

DCDCコンバータやパワーデバイスなどのチップ下面にあるサーマルパッド(exposed die pad)設計時のアドバイスがアムコア(ICパッケージ屋さん)から公開されています。

ざっくり言うと、銅箔にスルーホールを付けるとリフロー時に半田がスルーホールに吸い込まれて反対側に流れ出すことがあります。
場合によってはサーマルパッドから半田がなくなり、サーマルパッドの意味がなくなってしまいます。

サーマルパッドの熱結合をよくするためスルーホールの径は大きいに越したことはないのですけれども、
私が実験したところスルーホールをΦ0.3mm以上にすると半田の流れ出しが多く、Φ0.25mmにするとかなり流れ出す量が減りました。
また、スルーホール径が大きくてもソルダーマスク・レジストを入れると改善できました。
使用した半田は一般的なA30C5(Sn-3.0Ag-0.5Cu)です。低銀タイプのハンダにすれば濡れ性が悪くなり流れ出しがさらに少なくなると思います。

スルーホールレジストの有無 IC実装時の裏面 部品実装面(未実装時) レントゲンイメージ
Φ0.3mmスルーホールのみ
スルーホールから半田のツララが垂れている

半田がスルーホールに被っている

サーマルパッドの隙間に空気が入っている=基板と熱結合していない
Φ0.3mmスルーホールの
部品実装面側に
Φ0.35mmのレジスト追加

あまりスルーホールに半田が流れ込んでいない

スルーホールの縁にレジストが付いているので半田を弾いている

スルーホール以外の部分はしっかりと半田が付いている=基板と熱結合している

  ← レジストなしでもスルーホールをΦ0.25mmにすれば漏れは少ないです。

本当はスルーホール(ビア)の中に半田が流れ込んでくれると熱抵抗がグンっと下がって放熱が良好になるんですけども中々管理が難しいですね。
半田がスルーホールに流れ込みすぎるとサーマルパッドの隙間に空気が入りますし、
半田が予想通りスルーホールに流れ込んでくれないと溢れた半田がサーマルパッドから信号ピンの方に流れ出してピン間がショートする原因になります。