AVREF調整でどこまで精度をあげられる?

AVREFを使ってA/D変換の窓を小さくしてみる実験してみました。

結果は、
AVREFPが1.6V付近から徐々に精度が劣化をはじめ、0.8Vを下回ると急激に精度が悪化しました。
AVREFの調整だけだと分解能はせいぜい3倍くらいしかアップできなさそうですね。

応用では例えば、NTCサーミスタなどを使用する際は
AVREFP/AVREFMに抵抗分圧した電圧を供給すれば
測定対象の温度範囲を絞って、分解能をあげることができます。
 ・AVREFP=75%VDD
 ・AVREFM=25%VDD
とすれば、測定範囲が半分になって分解能を2倍にできますね。

注意点は、AVREF用に供給する電圧を抵抗分圧で作ると、抵抗誤差の方が変換誤差よりも大きくなりやすいのと
AVREFPの電圧が1.6V未満になると誤差が増えるで、AVREFを使う際はいろいろ気をつけましょう。

巷では(統計的には)、N回サンプリングして、最大値と最小値付近を捨て平均すると√Nビット分解能が増えるとされていますけども
ノイズによるバラつきはある程度収束しますけど、ADCの総合誤差があるから100回サンプリングしても、√100=10ビットも分解能は増えませんし。


最初は、AVREFPが低くなるとADC内のコンパレーターのオーバードライブ量が足りなくなって、変換値が少しずつ低めになるのかな、と想像していましたけども、5Vから2.6Vまでしっかり揃っていました(±0LSB)。2.6Vから1.6Vまでは、じわじわと下がり傾向([email protected])、1.6Vから0.8Vまでは下がり傾向が次第に加速([email protected])していき、0.8Vを下回ると逆に一気に大暴騰してしまいました。一定電圧以下だとダメになっちゃうんですねー。


↓条件: RL78/G13 5V 32MHz動作 標準モード1変換時間=1216/Fclk
ANI1=1/2*AVREFP(Z=500Ω)、AVREFP(ANI0)=0~5V(Z=0Ω)
各変換値は512回サンプリングの単純平均

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  • Kirinさん

    気になるのはfine tuningするとロバスト性が失われがちだということです。
    個別の石に対してはいいのですが、半導体にも個性がありますし、一律調整というわけにはいきません。

    例え25℃ではよくても40℃、0℃ではバラツキが…となっては元の木阿弥ですので ^^;

    …とは言いましたが、特性限界値を知ることは大事ですね♪仕様として実装するかどうかは別のお話ですもんね。


    すと@E.P.らぼ(kon)
  • すとさん

    おっしゃる通りですね。
    結局、FINEチューニングしても費用対効果は出ないと思いますし、むしろ悪化の恐れがでますよね。

    総合誤差の壁があるので、分解能をいくら上げても意味ないですし
    AVREFP\,AVREFMを±0.1%精度の金皮抵抗の分圧で作っても
    それぞれ2個の抵抗による誤差(0.1%+0.1%)がAVREFP\,AVREFMの2個所加わって0.4%の劣化となります。

    分解能10ビットで1LSB=1/1024=0.098%FSRですから、0.4%は4LSBの誤差要因になります。
    4LSB分精度を稼ぐには測定範囲(窓)を1/4にしなければならなくなり、窓を小さくしたことによるAVREFの特性悪化も加えると
    行って来い、むしろ悪化?してしまう可能性がありますね。


    AVREFPとAVREFMは異電圧接続というよりも、VDD系電源とデカップリングできるように存在してそうですね♡