RXファミリとは?

 

前回の「マイコンの選び方―①基礎編」では、実際の回路図を例にして、必要な情報を読み出し、マイコンを選ぶ方法を説明した。続いては、幅広く展開するルネサスマイコンの中核を成す、「RXファミリ」と「RL78ファミリ」から、用途別にオススメするマイコンを紹介する、まずはRXファミリから!

 

RXファミリは、産業機器や家電、OA分野向けのフラッシュ内蔵32ビットマイコンで、高性能で高コード効率、低消費電力なことを特長にしている。小ピンで低消費電力のRX100シリーズ(最大動作周波数32MHz)から、高速で高性能なRX700(最大動作周波数240MHz)までを同一のアーキテクチャでカバーしているので、周辺機能や開発環境の互換性が高く、使いやすそうだ(図1)。

図1:ローエンドからハイエンドまで、幅広くカバーするRXファミリ

 

図2:RXファミリ メモリ/ピン数 ラインアップ

 

RXファミリマイコンの詳細はこちら⇒

http://japan.renesas.com/products/mpumcu/rx/index.jsp

RXファミリマイコン未経験者向け情報「はじめてのRXマイコン」はこちら⇒

http://japan.renesas.com/products/mpumcu/rx/getting_started/index.jsp

 

 

RXファミリ―用途別オススメマイコン

 

RXファミリから、主な用途別(①汎用 ②モータ・電源 ③コネクティビティ ④メータ・計測)に、オススメのマイコンをアプリケーション例とともに紹介する。RXファミリマイコンの一部と、アプリケーション数例を紹介するに過ぎないが、マイコンの選び方を考える参考にしてほしい。

 

①  汎用

使用方法にとらわれず、さまざまな用途に使える汎用マイコンは、アプリケーションが求める機能を絞り込んで的確なマイコンを選ぶことが重要だ。ここでは、LEDレベルメータを例にする。以前はメータと言えばアナログ指針のメータを指したが、現在はLEDレベルメータが主流になっているので、活用するエンジニアが多いと思う。

LEDレベルメータに必要な機能は、A/DコンバータとI/Oポートだ。例えば、RXファミリの中でもローエンド向けの「RX110」が対応可能だ。A/Dコンバータの出力データはリニア(直線的な)データのため、LOG(対数)に変換するプログラムがメインとなる。また、プログラムエリアが大きいため、付加機能として瞬間最大値を0.5sぐらい保持するピークホールドなどをアレンジしても良いだろう。

このリニア―LOG変換プログラムを、「RX231」などのUSBインターフェースを有するマイコンで使用すれば、PCと接続することで、グラフィカルなオーディオレベル表示なども可能になる。

RXファミリの汎用向け情報はこちら⇒

http://japan.renesas.com/products/mpumcu/rx/sub/general_purpose.jsp

 

②  モータ・電源

モータや電源制御には、FPU(浮動小数点演算器)やPWM、12ビットA/Dコンバータなどを搭載した「RX600シリーズ」が役に立つだろう。例えば、「RX62G」は、1ユニットで3ch同時サンプリング可能な12ビットA/Dコンバータを2ユニット搭載している。この機能を用いた、アプリケーション例として停電検出器を紹介する。

停電検出器は、三相電源の電圧変動や周波数異常などの電源に関わる検出を行う。三相電源は、RX62Gの12ビットA/Dコンバータで使用できる電圧まで、トランスを使用して調整する。三相電源は位相が120度ずつずれている電源だが、これをA/Dコンバータで監視し、位相ズレや周波数異常、電圧異常を監視しアラートを出力させる。

ソフトウェアは、A/Dコンバータ入力に対し、プログラム上に正常な三相交流の標準データを持たせ、取得したデータと比較演算を行い判定する。この際、浮動小数点演算器を使用して高速演算を行うことにより、より正確な処理が可能になる。

RXファミリのモータ・電源向け情報はこちら⇒

http://japan.renesas.com/products/mpumcu/rx/sub/motor_control.jsp

 

③  コネクティビティ

RXファミリでは、シリアルやEthernetなどのさまざまな通信機能を内蔵したマイコンを展開している。また、通信用ドライバやTCP/IPプロトコルスタックなどを用意しているため使いやすく、I2CやSPIなどの周辺デバイスとのインターフェースも充実している。Ethernet通信機能を使用したアプリケーション例としてWebラジオを紹介しよう。

ストリーミング放送を聴くWebラジオには、Ethernet通信機能を内蔵している「RX63N」を使ってみたい。音声のデコードはソフトウェアでも処理できるが、外部デバイスにMP3デコードICを使用する方が容易だろう。Ethernet通信に関しては、用意されているTCP/IPプロコトルスタックを使用すれば良さそうだ。

RXファミリのコネクティビティ向け情報はこちら⇒

http://japan.renesas.com/products/mpumcu/rx/sub/connectivity.jsp

 

④  モータ・計測

「RX21A」は、通常の計測器に使用されるレベルの24ビットΔΣA/Dコンバータを搭載していることが大きな特長だ。またDEUと呼ばれるAES規格の暗号化/復号化に対応するセキュリティ機能を有する。この特長は、高精度なプリセット型の計測器などに活用できそうだ。

プリセット型の計測器は、測定結果が基準に対してどのくらいのズレがあるのか(プリセットされた数値と測定値の差)を測る。24ビットΔΣA/Dコンバータによる高精度な測定能力が、存分に発揮されるだろう。基準とするプリセット値は、プログラム上にあるため外部から簡単に変更できないようにする。測定結果の表示は、SCIインターフェースを有するため、パソコンとの通信のほかに、キャラクタLCDを使用しスタンドアローンで使用することも可能だ。応用範囲は多く、入力の回路を変えるだけで家庭用電力計や太陽光発電量表示機、製造ラインの検査治具などにも利用できそうだ。

RXファミリのモータ・計測向け情報はこちら⇒

http://japan.renesas.com/products/mpumcu/rx/sub/meter_measuring.jsp

 

 

汎用から特定用途向けまでを、幅広くカバーするRXファミリのラインナップは多彩だ。スターターキットなどで機能を検証し、最適なマイコンを選ぼう。

ほかにも、さまざまなアプリケーションでRXマイコンが活用されているだろう、ぜひ、皆さんの体験談などをご紹介していただきたい。下のコメント欄をドンドンお使いください!

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